倒馬しての去勢は、覚醒のことを考えると手術室でやるのが圧倒的に楽である。
私たちは、キシラジン、ジアゼパム、ケタミンを使用している。
手術時間は数分なので、これらのコンビネーション 麻酔で十分な手術時間が確保できる。他に、トリプルドリップや高価なプロポフォールを使用する方法もあるが、どれも十分な鎮痛効果があるので、ウマにとってもあまり痛さは感じない。
一方、サクシンを使った方法もある。サクシンは筋弛緩剤のため、注射直後にウマは筋肉に力が入らなくなり立っていられなくなるため、あっという間に倒れてしまう。
この方法で去勢をすると、意識はあるがウマは動くことができない。
鎮痛作用は皆無なため、ウマはものすごく痛い。けれども動けない。非常に残酷な方法で、世界中でこの方法は禁止されている。
おまけに呼吸ができないため、酸欠でひどいチアノーゼになる。少しの量の違いで窒息死することもある。
作用は超短時間のため、手術後ウマはすぐに起立する。ミラクルのように見えるが、非常に残酷な方法である。今でも、やっているらしい!
以前TVで、特異体質で麻酔が効かない人が、意識があるなかで手術を受けたが、手術中筋弛緩剤を投与されていたので体は動かすことができず、手術中麻酔が効いていないことを眼だけでも伝えられずに体を切り刻まれていたという番組があった。
恐ろしい!ウマはそれと同じ状態。