こんな所もケガした

ラチをまたいで?股が切れてしまった。

こんなところは立ったままでは縫えない。


麻酔で倒してよく見ると筋肉も切れていて穴があいた状態。

吸収糸(バイクリル)で筋膜を縫って穴を塞ぎ、抜糸ができないので皮下織を埋没縫合。先端は漿液が溜まらないように少し開けておいた。その後は意外と腫れもせず順調との連絡があった。

ミニチュアホースの開腹

生後6ヶ月のミニチュアがハライタになった。3日間バナミンを投与するたびにケロッとするも腹はどんどん膨れてパンパンに。心配になってやって来ました。

情けないことに日本で売っているGEのエコーではさっぱりわからず、まるでダメ。

30Kgではあまりにも小さすぎて馬用の吸入麻酔器が使えない。久しぶりのトリプルドリップ。トリプルドリップはGGE、キシラジン、ケタミンの混合麻酔薬。2時間を超えると酸素分圧が低くなるので、のんびりはできない。

キシラジンもケタミンもほんの少し。全然薬使わないな。犬猫って薬品代タダ?(笑う)

手術台に載せるのもらくらく。2時間の手術でトリプルドリップ全然減らず。

便秘で結腸にボロがいっぱい。終わったらガスでパンパンだったお腹がぺしゃんこ。

元気になって抜糸にやって来ました。

ちっちゃいので横に倒しての抜糸。ベテランアニマルテクニシャンのM嬢による固め技で全く動けず。素晴らしい!

ライトエースに乗って帰ります。

ブラックジャックの無菌テント発見

どこでも手術ができるようブラックジャックはカバンにボンベで膨らませる無菌テントを入れている。そんなテントを発見した。

その正体はポンプで常に空気が循環する車用の保存用ガレージ。小動物ならこの中に手術台を置けばオペ出来そう。ちょっとウマじゃ、ホイストが使えないので残念ながら無理かも。ガレージの中に設置すればカビも生えずに車を保存できるとか。10万位でヤナセで販売中。バイク用の小さいのもあるらしい。

ワンコの去勢をしてみました。生前、あっ!間違った。手術前のなんか不安そうな顔。
こっちはもっと不安。

まあ、基本的には馬と同じ。キシラジンとケタミンでお休み中のワンちゃん。何もかも小さいので意外と苦戦?薬はウマの1/100。小動物って安上がり。

意外と知らないギプスの巻き方

開業の先生がギプスの巻き方を習う機会は残念ながらほとんどない。巻く機会もそんなにないだろうし。そうそう教えてくれる人もいないし。私がJRAの診療所にいた頃は数え切れない数を巻いて失敗から学び、先輩に教えてもらったり、後輩に教えたり誰でもそれなりに巻けるようになっていた。開業してから手術で来るウマ達には時々残念ギプスでやってくるウマが多い。教えてもらってないからしょうがないんですけど、ちょっと残念。

はずしていたら、なんか剥がれてバラバラになった不思議なギプス。

つなぎがバラバラで創外固定の手術に来たウマ。まるで長靴を履いた猫?違った!ウマだった。ぶかぶか。こんなの初めて見たぞ!

足がバラバラになって、粘土を塗ってその上からぶかぶかギプスを巻いたのでギプスの上からゴミやワラが入り放題。開けてびっくり!これから整形外科手術をするんだけど。綺麗にして消毒するのが大変だった。

これも創外固定の目的で、関西から来たウマ。巻きにくい、うしろ足でヒールも付けて頑張ってくれたのですが、あっけなく真横に折れていた。

折れる原因のほとんどは、平行に巻いているから。特に球節周囲はクロスして巻かないと折れてしまう。1本目は上から下まで半分くらいは重なるように巻くが、2本目からは全体をクロスするように巻く。ギプスは基本的に引っ張りながら、ゆるくならないように巻く。一番重要なのは下巻き。切れる寸前まで、引っ張りながら巻かないとゆるんだぶかぶかのギプスになる。下巻きの上にさらに包帯をきつ目に巻けばほぼゆるまず巻ける。でも、包帯の上にじかにギプスを巻くと今度は外す時くっついて大変。包帯の上に薄く下巻きを巻きましょう。

UMAライフの取材

先月、乗馬雑誌「UMA LIFE」の取材が来た。

丸一日の取材で普段の診療や手術、牧場の診療の取材に来た。

全部で5ページもあるので内容や誤字の直しに結構大変でした。取材から出版まで時間が少なく、あっという間に雑誌ができたのには驚きでした。締め切りに追われない仕事で良かったです。

みなさん、見てね。

2018年の研修

小動物関係の研修、セミナーは山のようにあるが、ウマ関係の研修は数えるほどだ。当クリニックでは情報の遅れがないよう毎年必ず何らかの研修に参加している。

2018年参加した研修。1月、2月は公獣協(公営競馬獣医師協会)の那須の第19回獣医師生涯研修。この研修も最初の頃は結構参加者も多かったが、ここ数年減少傾向。地方競馬に所属している先生、個人の馬専門の先生、研修に来なきゃダメでしょ!たったの7.000円で受けられるんだから。学生さんは無料だったような。8月は社台のカンファレンスで苫小牧へ。このカンファレンスも内地の先生はほとんど誰も来ない。北海道の先生しかいない。

カンファレンス前日に行った千歳では評判?らしいジンギスカンの店。焼肉のタレみたいなのが出てきてぶったまげ!ビールの付き出しは解凍したどろどろの枝豆。おまけにジンギスカン鍋は油がたまっていて野菜を入れたら大爆発。素人みたいな店は恐ろしい。つくばの綿羊のタレが本当のジンギスカンのタレだ!

11月はJRA研究発表会とウマ科学会で蔵前へ。

12月はAAEP米国馬獣医師会の年次総会でサンフランシスコへ。前回行ったサンフランシスコのAAEPは1991年。超久しぶりのサンフランシスコ。

トレードショーはものすごい数の業者展示。ここでは日本では売ってないものが、その場で買える。小さいウマ用の気管チューブ3本ゲット。

日本からもサンフランシスコに惹かれて多数参加。会長も女子がいるとうれしそう。

もちろん名物のケーブルカーも乗りました。
2019年は皆さんも研修に参加しよう!

あっと驚く!ウマにピアス

牧場に入ってきた競走馬。耳に飼い葉桶などを吊るす金具が入って取れなくなったと連絡が来た。

こんな金具耳に入りますかね?

これが実際の写真。

いくら引っ張っても取れない!鎮静をして、耳の中に麻酔薬を入れて1時間頑張ったがどうしても取れない。

耳は切りたくないし。無理矢理金具を回して、やっと取れた!
馬房の壁に水桶をかける金具が立ち上がる時に耳に入ったようだ。馬房に入れっぱなしだったので、牧場の人は2日間気がつかなかったが、金具がなくなったことには気づいていたらしい。外に出す時、頭絡をつけてやっと気づいたらしい。

1週間後に漿液が溜まったが、抗生剤と消炎剤の投与で無事に良くなった。

世界で最も走行距離が長い電気自動車テスラ。テスラ専用の超高速充電器スーパーチャージャーも世界最高だ。よくある高速充電器の倍以上の速度で充電可能。
なんと1時間に500km以上充電することができる。そのスーパーチャージャーのスタンド?には、それぞれ1A,1B,2A,2B,3A,3Bと番号が振られている。まるでエコー検査の浅屈腱の位置表示みたいだ。

 

 

 

 

絶対に繋靭帯炎と思った乗馬

13歳、騸馬。J*Aの元誘導馬。原因不明の右肩跛行と診断され、そこの乗馬苑では2年間、肩に温湿布をしていたらしい。廃馬になりやってきた乗馬クラブから本当の原因が知りたいというので群馬のクラブまで行ってみた。

前もって送ってきたビデオでは、速歩でまっすぐ走ると明らかに右前の跛行。調馬策では左回りの方が跛行が悪化して見える。普通、右前の下肢部が痛い時は、右回りの方がより痛くなる。左回りで右前が痛いって、こりゃ典型的な繋靱帯炎だねっと思ったら・・・・。クラブに着いてみると。

早速触ってみると、明らかに右前繋靱帯の上のほうが痛い。やっぱりね。これはPSD。速歩では結構痛そう。神経ブロックの基本は末梢から。一応、跛行は変わらないだろうと思いつつ蹄に麻酔をしてみた。あら不思議。跛行が消失。こりゃ完全に予想外。おまけに、かなり触診で痛かった近位繋靱帯の圧痛も消失。???繋靱帯が痛いウマは蹄も痛い時があると言われているが・・・。
やっぱり乗馬で長期の跛行の原因NO1は蹄ですね。だまされた(笑)。

とりあえず蹄のレントゲン撮影。特別な異常も無く割と綺麗。予想外の展開で蹄も良く触らずに麻酔。今日はツメですねとしか言えず。蹄底のパッド、蹄踵を高く。他に出来そうなことは?

 

 

 

 

重症の蹄 part2

3週間ギプスを巻いた。歩様も少し改善してきた。

塩釜焼みたい。そんなに臭くない。いい感じ。

つめの割れている所はまだ痛々しいが、蹄球はくっついている。

縫合部も蹄壁も、なんとか感染も無く順調、 過剰な肉芽もなく、とても良好。全部抜糸。あとは割れている蹄壁の処置のみ。

今回はちょっと難しい症例なので、乗馬のS先生にワイヤー固定をお願いした。

蹄壁が薄いので、エクイロックで裂蹄の両側に土手を作り、そこにワイヤーを通して締めた。なるほど。

蹄底も補強。

手打ちそばの総本山とも言われる足利の一茶庵。前回は予約しないで行ったら1時前で、そばはもう、ありましぇーん。今回はリベンジ。予約しました。12時前なのに満席。予約して良かった!

細切りで、つゆも少しからめ。なかなか美味い。でも、私の本命は成田手前の408号沿いの久霧。ぱりっ?とした食感のそば。さらっとしてうまい。お昼のミニ天丼付き1000円がおすすめ。

 

 

重症の蹄にはギプス固定 part1

img_8472牧場で2才の競走馬が夜中に右後蹄にひどい外傷を負った。馬房のトタン板を突き破って引き抜いた時にやったらしい。馬房の壁やとびらにトタン板を使うのは危険だ。乗馬なども後ろ脚で蹴り破って、つなぎや腱をズタズタにすることがある。動脈を切れば、一晩で失血死。

外傷はあまりにもひどく、後ろ足なので、担当獣医師の依頼で全身麻酔で治療することにした。

外側の蹄球は蹄軟骨と共に中まで完全に切れていた。トレセンではちょっと見かけないほど重症。再び走れるようになるのか。

蹄球を引っ張ると、蹄底も蹄骨から剥がれてきた。ワラが中に入っていたので汚染が心配。時間をかけて中を洗浄と吸引を繰り返した。

蹄球を縫合。蹄球は絶対縫合しないと肉芽が大爆発する。蹄軟骨はくっ付く? 皮膚は全部縫合した。見た目は結構良さげです。うしろ側の蹄壁は薄いので、ワイヤー縫合はあきらめて専門家に依頼することにした。 蹄のひどい外傷は、ギプスで固定することで、きれいになおりやすい。割れた蹄壁からの感染予防と蹄球の早期の癒合が期待できる。セファロチンナトリウム10g を2回/日とゲンタマイシンを5日間投与した。